痛みという体からのサインをどのようにとらえるのかによって、
治療の方向性が大きくかわります。
痛みをプロスタグランジンという発痛物質が原因だ、とすると
この時点でプロスタグランジンが無くなれば痛みが解決する、
という考えになってしまいます。
一時的に痛みを抑える、
という応急処置のであればそれでも良いかもしれません。
しかし、
実際にはそうではありません。
そもそもプロスタグランジンには血流量を増やすという働きがあります。
そのため、
プロスタグランジンの生成を抑える薬を使いますと、
胃粘膜や腎臓の血流量が減るという副作用が発現し、
胃腸や腎機能の障害に至る事もあります。
痛みはともなっても、
プロスタグランジン自体は栄養や酸素の供給量を増やそうとしている
可能性が示唆されます。
それを抑える事は、
痛みの後に訪れる「組織の回復」の妨げになる可能性があるという事です。
それは治療=回復と考えるのであれば、反対の事を行っていると言わざるを得ません。
体はプロスタグランジンを作り出して、
患部の血流量を増やし
酸素や栄養の供給量を増やそうとしているのです。
つまり、
痛みから本質的に回復するためには、
酸素や栄養の供給量を増やす、という事が目的となるのです。
そのために必要な事をご提案することが
痛みの治療にとって最も必要だということです。