「がん」とは正常分化できなかったもの
人は受精卵というたった一つの細胞から、
細胞分裂を繰り返し約1kgあたり1兆個の細胞の集合体へと成長します。
成人男性60kgとすると細胞は60兆個という事になります。
(概算であることは言うまでもありません。)
父2対の遺伝子のうち1対とした精子と、
母2対の遺伝子のうち1対とした卵子が、
交配受精によって2対の遺伝子になるという
減数分裂(2対のうち1対とする)によって
受精卵という単細胞となり、
どなたも例外なく“その”たった一つの細胞から
多数の細胞へと分裂し成長をしてゆきます。
ただ細胞の数だけが増えるのではありません。
細胞はそれぞれが機能をもった細胞へと成長してゆきます。
それが分化です。
目になるべき細胞は目に、
脳にも、舌にも、耳にも、肺、心臓、肝臓、胃腸、などなど、
最初はそのような機能を持った臓器や器官ではなかったものが、
「分裂」と「分化」を繰り返し、
遺伝子という設計図に則って形成されるのです。
ではがん細胞とは何なのでしょう。
正常に「分化」できなかったものの一種が「がん細胞」です。
「がん」なのか「ポリープ」なのか、
「筋腫」なのか、
「肉腫」なのか、
「良性腫瘍」なのか、
「サルコイドーシス」なのか、
「アミロイドーシス」なのか、
その境界は「分化」の度合いによるのです。
それががん診断でよくいわれているステージです。
「分化」が進んでいないより原始的な細胞や、
異常なタンパクなどが蓄積してしまっている細胞ほど、
正常細胞とは程遠い構造になります。
正常細胞と程遠いほど
がん細胞は進行性、またはステージは高いのです。
「分化」ができなかったことを、
「未分化」、「老化」、「幼若化」、「胎児化」、「異分化」などといいます。
「がん」が怖いというよりは、
細胞をきちんと成長させる事ができない心身の状況・状態に
問題があるとは思いませんか?
そして何より
「正常細胞」をより元気にすることが本来の治療の本流であると私は考えています。