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漢方を西洋学的に運用することに対する懸念

NHKのなんという番組だったか詳細は覚えておりませんが、おそらく昨晩やっていたのは再放送だと思うのですが、医療の最前線で漢方薬が使われている!という内容でした。
医師や大学などの研究機関でも、漢方の実際の効果を科学的に解明しようというのが、この所流行ってきているように感じます。
これはこれでいい事だと思いますが・・・。
富山医科薬科大学での研究が例にでていましたが、インフルエンザを感染させたマウスに葛根湯を投与すると、節々の痛みの元になる炎症物質を誘導するサイトカインIL-1が減り、免疫力を増強するサイトカインIL-12の分泌は促進される、というデータが放映されていた。
かたや、腸閉塞の術後に大建中湯をつかうと、予後がとても良い、という慶応大学の消火器のドクターだったとようだが、ご自身もご使用になられ、具合がよくなったという実例が放映された。
オ血(オケツ 漢方で言うところのいわゆる血液ドロドロ)も、特有のタンパクがあることが分析学でわかり、桂枝茯苓丸を投与するとそのタンパクが血液から消失するという。
これも科学的にはこれでOKなのだろうけど、果たしてそれで病が治ったとはいえないと思う。
このようにTVに放映されると漢方のイメージもよくなり、希望する患者さんも増えるであろうと思います。
しかし、漢方は運用法に漢方独自の判断材料があります。
体に現れるサインを読み取り、処方を選ぶようにするべきであり、血液像での診断を良しとするのは心配です。
たまたま、ラットでは、インフルエンザ感染した場合に葛根湯でいい例がでています。
しかし、ラットのように発汗しないであろう動物を例にして、発汗する能力のある私達人間の全てに、インフルエンザに感染した際に葛根湯を使ったとしたら、おそらく体調を崩してしまうかたも多くでてくるであろうと思う。
漢方の風邪薬は葛根湯だけではない。むしろ葛根湯以外のほうが、実際に風邪の患者さんにたいして処方する事のほうが多いように感じる。
葛根湯をセルフで購入し、適当に風邪を引いた際に、本来の葛根湯証ではないのに誤飲されている人はおそらく途方も無いほど多いと思う。
薬の運用法を間違えることを誤治といいますが、時として命に関わる場合もあるので、やはり信頼できる漢方家に相談をしていただきたいと思う。
大建中湯に関しても、それを運用する前にもっと他の処方があるかもしれない。
人参・山椒・乾姜の組み合わせを自在に使えるほどの腕は私にはまだありません・・・。
もっともっと勉強が必要だと改めて感じました。
そして、勤めて古訓を求めていない、ような人には、もし私が体調が悪くなった時に絶対に漢方を処方してもらいたくはないと思いました。
漢方がいいから!という手軽さで体調をくずされる人が増えるような、そんな気がしてなりません。
漢方のイメージが結果的に悪くならないか、心配な今日この頃です。
漢方にオールマイティーは通用しないのですから。
特に急性病には注意が必要です。
インフルエンザがこれだけ流行っている今だからこそ。
医療機関に漢方薬の緊急安全性情報が流れないことを祈るばかりです。

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ごう先生の独り言
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