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腸活

うんちって何もの?

便秘や下痢の治療のご相談の件数を重ねるにつれ
漠然とした疑問がわいてきた。
うんちって何ものなのか?
実際に僕は分かっているようで分かっていなかった。
便秘相談、下痢相談という事をかかげておきながら、
おそらく分かっている人はそうはいないだろう。
病院で医師に相談しても、
「便秘薬出しておきますね」という程度で、
深刻に受け止めてもくれないというケースが大半だということも
たくさんの患者さんたちに尋ねてみてわかった。
便秘・下痢の相談は僕の漢方薬局のルーツでもある。
相談薬局を生業にしているとはいえ、
初めからどんな病気の治療に対しても
万全の力量で相談にのることができるほどのエキスパートではない。
僕が最初に相談能力を高めようと勉強したのが「便秘」だったのです。
僕が父の営む薬局に入ったのが平成10年でした。
それからどれほどの方々の便秘相談をこなしてきたかはわかりませんが、
多い月で1か月に40件ほどの便秘相談を主に受けていた時期がある。
今でも1日に最低でも1件は便秘にかかわる相談を受ける。
十年以上の時間が経過すれば述べ1,000件はゆうに超えている計算になる。
それにしてもうんちとは不思議なものだ。
ものすごくたくさん食べているのに便秘という人もいれば、
あまり食べなくてもある程度規則的に便通がある人もいる。
この差はなんなのだろう?
この疑問が僕の便に対する観念の大きな転換点となりました。
そもそも便秘薬って何?
そう考え始めたら
納得ができる答えを考え続ける日々が始まりました。
便を構成する成分はほぼ以下のとおりである。
・水分 約60%
・腸粘膜細胞の死骸・垢(寿命がきて剥がれ落ちた細胞) 約15~20%
・腸内細菌 約10~15%
・食物残滓(食べたものの残りかす) 約5%
僕は目を疑った。
食べたものはたった5%しか出てこないという事実に。
冷静に考えれば消化吸収されるので、食べた物など跡形もなくなってしまう。
食虫植物に消化された虫は溶けて跡形もなくなってしまうのと同じだからだ。
人間の消化液はかなりの消化力があるから、食べたものなど跡形も無くなってしまうだろう。
しかも現代の食生活は皮をむき、煮炊きなどの調理をするから、なおさら消化は良い。
便秘して困っている人の根源的な悩みの多くは
食べた分だけのうんちが出ないので心配だという事だからだ。
人がいかに物事を深く考えていないか、
間違ったイメージに悩まされているかが分かった。
ではうんちって何なのだろう?
赤ちゃんはおっぱいしか飲んでいないのに
うんちをブリブリとする。
あんなに小さな体から結構な量のうんちが出る。
子供も小さな体から大人よりも大きなうんちでるのが一般的だ。
最近は子供の便秘も増えているのでそうとも言い切れないが、少なくても僕は子供のころの方がうんちが大きかったように思う。
うんちの成分をよく見ていたら気がついた!
一般的に乳児や小児は成長が旺盛で、
腸粘膜の新陳代謝もとても良い。
つまりどんどん新しく細胞が生まれ変わって、
不要となった細胞が剥がれ落ちているというという事だ。
つまり便の量は、
質量としてももっとも多い「腸粘膜細胞が寿命がきて剥がれ落ちた垢」
の量に応じて増減するのである。
たくさん新陳代謝して粘膜細胞が剥がれ落ちている人ほどうんちが多いのだ!
最も便中の物質量の中で多い割合のものだから影響が大きいのである。
ここで疑問を持つ人が多いであろうから先に書いておきます。
一番多いのは「水分」ではないのか?
おっしゃりたい事は良く分かるのですが、
水分に関しては誤解が多いのできちんと説明します。
飲んだ水分のほとんどは小腸で吸収されてしまう。
つまり水をいくら飲んでも理論上はうんちになるわけではない。
大腸から水が湧き出てくるかというと否。
大腸も最終的には水分を吸収する臓器だからです。
粥状のどろどろうんちを、ゆっくりと時間をかけて水抜きをして、
お団子状にまで形成することを大腸は行っている。
1時間に10cmしか進まないのだから徹底した仕事ぶりだ!
ではうんちに含まれる水って何なの?って話です。
それは、じっくりと読んで理解してほしいのですが、
寿命がきて剥がれ落ちた腸の粘膜細胞や、
腸内細菌(生きてても死んでいても)の細胞の中は、
ほとんどが「水分」なのである。
少なく見積もって60%が水分なのである。
それは人の体は60~%が水分だといっているのと同じことです。
つまり、
水を飲めば便がたくさん出るなどという単純な話にはならないということ。
食べ物の残りかす5%の中にも
食物中に含まれている水分がある。
それも60%程度の割合になるのだろう。
という事で、
最も多い割合に見える60%の水分は、
・腸の粘膜細胞の死骸
・腸内細菌
・食物残滓
という3成分に含まれているものだと考えるのが理にかなっているのである。
腸の粘膜細胞が寿命がきて剥がれ落ちる量は、
単純に赤ちゃんの方が高齢者よりも多いという事実から、
うんちが出にくいというのは老化現象の一つだということができる。
また老化現象というひとくくりにはできない場合もある。
その場合を僕は疲労やストレスなどによる「消耗」だととらえている。
腸の粘膜というテニスコート1面分以上もの広大な表面積を構成する細胞が
毎日どんどん生まれ変わるためには、
肉体的に充分な余裕がなければ絶対に成立しない。
僕が行き着いた便秘や下痢の根底の考え方ここにある。

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