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漢方の視点からお薬について学ぼう

20160613

昨日(6月12日)は神奈川県議会員の菅原直敏さんが、大和市議会員に初当選された13年前から続けている県民交流勉強会・意見交換会「県政スクエア」にて講演して参りました。

毎月開催されており今回が228回目ということで、ここまで続けてこられたことに心から敬意を感じたという事と、今回が医療や介護に携わるプロに講演をしていただくという形式の栄えある第1回目ということで、このような機会をいただけた事に心より感謝しております。

菅原さんと事前に打ち合わせをして決めたお題目は、「漢方の視点からお薬について学ぼう」となりました。

神奈川県では「未病」、大和市では「健康都市プログラム」など、自治体をあげて健康に関わるキーワードを掲げ、言葉が至るところで踊っております。

医療への人々の関心は古来から現代に至るまで脈々と続いています。

僕自身が薬科大学を卒業後に大手調剤薬局に勤務した事が医療業界での仕事の第一歩であり、その当時は国民皆保険制度の最前線で仕事をしていましたが、現在は家業である漢方を主体とした健康相談薬局の跡継ぎとして、健康保険制度を利用しない自費医療の世界に身を投じ約20年の歳月が過ぎました。

どちらも経験し、現在の生業に集中したからこそ見える、私なりの視点や世界があります。

もっとズバッと言ってしまえば、他者との利権がからむ要素が無い私だからこそ、大手を振るってなんでも言えてしまうという、絶妙な立ち位置があるからこそ表現ができる事があります。

現代の医療の良い点も分かるし、現代医療の弱点も知っています。

漢方の曖昧なようで、直感力と鋭い効力がある事も知っています。

ご参加者の方からの質問には、ズバっとお答えさせていただきました。

草冠に楽になると書いて「薬」 草冠に楽しいと書いて「薬」

苦しんでいる人から楽になったよ、といってもらえたら嬉しいですもんね!
ところが「楽」になる事を求めすぎたとたんに、今度は薬の中毒や副作用というしっぺ返しに合うという事が起きてきたのです。
その影響で現在の薬物療法は、リスクの方がクローズアップされがちです。

そのおかげで多くの方は物事を観る時により深く考えるようになり、様々な関連に気がつくようになってきたのではないでしょうか。

僕が漢方薬局の薬剤師としてやりがいを感じ、日々充実して仕事にうちこめる理由は何なのかを考えてみました。

患者様の病状に合わせて漢方薬を選び使うスキルを身に付けたいと思い、「漢方」を僕なりに必死になって学びました。

「漢方」のスキルという基準があるレベルに達すると、その他の様々な事を行う基準にも転用できるようになりました。

具体的には、現代の数値化という客観的・科学的な基準で考えるのではなく、漢方や東洋思想はバイタルサインという自主的・感覚的でありながらも統計的な基準で考えます。

人と人とが、検査器具や電気などが無くても、現在の状況を自分なりに判断する事ができるというのは、私一人「裸一貫」でもできるというシンプルさがあります。

保険医療はチームで業務を分散し、リスクマネジメントが主体となっているように思います。そこに携わっていた駆け出しのころからすると、漢方を主体とした自費診療というカテゴリーは個人でできる反面、心細く、個にかかる責任の重さがプレッシャーとなります。なんとも情けない心持で漢方の世界に踏み入った事を昨日のように思い出します。

きっと、大半の薬学生がこの道を選択しないのには、安定や何の保証もないという事につきるでしょう。
修行中はご飯を食べていくことすらままならないかもしれないのだから。

「漢方」はスキルであり、ツールであります。

主客相対するという、私と患者様という状況があって、スキルやツールというものは、使う者によってその能力は大きく変わってきます。

イチロー選手や松井選手がバッティングするのと、僕がバッティングするのでは大きな差があるという事と同じです。

僕が使う「漢方」と他の人が使う「漢方」は違うのです。
それぞれの個性が出てくるのです。
僕の父の使い方とも違います。
漢方薬局を営む友人や先輩の使い方と僕の使い方は違います。
これは何事に関しても言える事ですが、やはり「人」なのだと思います。

個人差という事をできるだけ平均化するために作られているのが現代の医療ともいえます。

漢方も科学なので系統的なカリキュラムの構築によって、できる限りの平均化ができるように努力はしています。

漢方は思索とイマジネーションの世界

漢方だけに限った事ではありませんが、漢方を使う上でとても大切なのは直感です。

私の父は「類推」する力だと教えてくれました。

臨床は思索とイマジネーションの世界であり、芸術の一種のようでもあります。

レオナルド・ダ・ヴィンチが解剖学や生理学、動植物学、天文学などに至る科学全般に天才的に精通しているように、臨床は芸術性に富んだ世界の科学なのだと感じます。

芸術家の方が年老いても作品を追い求めるように、漢方に携わる事もまた一生を賭けて打ち込むことができる世界なのかもしれません。

講演のご依頼を受けてからというもの、そんなことを感じ、想いを巡らせていました。